いきなりですがわたしは昔からくじ運がすごく悪くて、もうはっきり悪いと思えるほど悪いんですが(明らかにいいと思われる人が身近にいるんでよりそう思う)、まあそういうもんだと思ってた。
あるとき、まだバサラを描いてた頃ですが、年末に別コミ(当時。現ベツコミ)のパーティーがあって、ビンゴ大会が始まりました。
そこには漫画家さんが3、40人いらしてて、編集さんがおっしゃるには「商品は人数分あります。必ず何かが当たります。商品は何なのか見えているので、上がった方からお好きなものを持っていってください」というシステムだということでした。
わたしはいつもながら全く数字が揃わず、上がっていく皆さんがブランドもののアイテムだったりおしゃれな家電だったりをどんどんお持ちになっていかれるのを、まあそうだろなとあんまり気にせず横目で見てました。
まだ景気のいい時代です。
結局、わたしは最後の一人になって(それでも揃わなかった気がする)、編集さんがものすごく申し訳なさそうに、誰にも選ばれず最後まで残ってた商品を手渡してくれました。
それはチャーリーという名の腹話術の人形でした。
わたしはなんでまたこんなものをと思いながら有り難く(いやかなり微妙だったが)もらって帰り、家でちょっとやってみた。なんだか面白かった。そして部屋に置いとくと少し怖かった。
もうおわかりのかたもいらっしゃると思いますが、「7SEEDS」のシェルター龍宮の話に腹話術師ピート兄弟が出たのはこのせいだと思う。この人形がちょっと身近だったから。
そうでなかったらまた違う種類の芸人さんを考えたかもしれない。でもこの話は彼らで良かったと思う。大好きだったマークとピート。ありがとう編集さん。福があったです。
でもそんなことを思ってたら最近とあるパーティーでいいものが当たったので、もうくじ運悪いとは言えなくなりました。なぜだか少し寂しい…。
ちなみにピートという名は、ハインラインの『夏への扉』の猫の名前からこっそりいただきました。せつない…。